小児歯科というと単に「子供の治療」とか「乳歯の治療」のイメージするかもしれませんが、乳歯には「次に生えてくる永久歯を正しく誘導する」という大切な役割があります。
早期発見、早期治療は子供の歯のためにあるといっても過言ではないでしょう。子供の歯は大人の歯の半分の大きさと半分の厚みで、歯質が軟らかいため、小さなむし歯も数ヶ月で神経を侵します。
子供は大人と違って歯科医院に来た目的を完全に理解することもも難しく、なかには泣いたり暴れたりして・・・治療をいやがる子もいるでしょう。当院では歯科診療に恐怖心を持つお子さんでも、恐怖心を和らげ、歯科診療に慣れてもらうまで、根気強く治療に当たります。
頑張ったお子さまにはご褒美を用意するなど、治療に積極的になれるような動機付けを行っております。子供は、歯の治療を頑張り自分で乗り越えることができるという自信がつき、周りの人がそれを認め励ましてやることにより見違えるほどしっかり者になるのです。
またフッ素塗布などの予防処置を行っています。成長期における、歯並び・咬み合わせも矯正治療の経験豊富なドクターが適切な時期に適切な治療のアドバイスを行います。
■フッ素とは
フッ素は何か特別の薬品のように思っている人もいるでしょうが、自然環境に広く分布しています。土の中、海や川の水、大気、あらゆる植物や動物、そして人間の身体にも微量ですが含まれています。わたしたちは、 食べ物や緑茶どの飲み物から毎日これを身体の中に取り入れていますが、それだけではむし歯予防に十分ではありません。そこで、海外では水道水にフッ素を入れ たり、食塩に添加したりしていますが、日本では専門家によるフッ素塗布、フッ素洗口、フッ素入り歯みがき剤などが利用できます。
フッ素は歯の表面のエナメル質と結びついて歯を強くする働きがあります。また、むし歯の活躍を抑える働きもあります。ですから自然治癒が可能なごく初期のむし歯などでは、フッ素を塗ることによって治癒を助けることができます。
■フッ素塗布は次のような効果があります。
1、歯質を強化し、虫歯になりにくい歯にする。
2、 虫歯になりかけた部分の自然修復(再石灰化)を促進する。
3、 抗菌作用や抗酵素作用により、虫歯菌の活動を抑制する。
■フッ素塗布の回数について
当院では、お子様に応じた方法、回数でフッ素塗布を行っています。大事なことはせっかくの予防処置ですから、虫歯になる前に適切な処置を行うことです。健康なお口の状態を維持していくには、定期的なメインテナンスが必要不可欠です。
■フッ素利用にあたって注意していただきたいこと
1. フッ素によるむし歯予防は、いろいろな病気の予防注射のように処置をしたら確実にその病気にならないといった予防方法ではありません。不摂生をするとフッ素を塗った歯でも、やはりむし歯になります。
2. フッ素を用いていても歯磨きや食生活に気を配らなければむし歯になってしまいます。
3. フッ素塗布を受ける場合は、歯磨き指導や食生活指導もしっかり守りましょう。
■フッ素塗布の流れ
1、みがき残しのチェック
どのくらいみがけているか、みがき残しのチェックし、ご説明いたします。
2、歯のクリーニング(PMTC)
ハブラシや専用の器具を用いて、歯のクリーニングを行います。痛みはほとんどありません。
3、ブラッシング指導
正しい歯のみがき方をご指導いたします。できるだけ簡便にわかりやすくご説明できるよう努力して
います。
4、フッ素の塗布
フッ素を専用のスポンジやハブラシで塗布します。塗布後20〜30分は、お食事などなさらないようにご注意ください。
子供の歯の治療も大人と同じに、削ったり詰めたりします。しかし、根本的に違うことがあります。子供の歯やあごは日々成長し変化していることです。治療が終わっても安心してはいけません。定期的に検診を受け、成長に合わせて診てもらう必要があります。
■小さいむし歯の治療
小さいむし歯というのは穴があいているのが見える状態ではなく、お母さんが子供の歯についているだ液をふき、目をこらして見てはじめて歯の面が白っぽくなったり溝が黄色かったり黒っぽいシミのようなものが見える状態です。これくらいでみつけるのが「早期発見」です。
小さいむし歯の治療はむし歯をけずりとり、穴の中につめもをします。つめる材料は金属やプラスチックなどがあります。歯につめたもののまわりはむし歯ができやすくなります。むし歯ができるとつめたものがかけたりはずれたりするだけでなく、つめた物の下にむし歯が広がり発見が遅れます。治療したからといって安心せずに少しでも黒いところを見つけたら早めに治療を受けましょう。
痛くなってから治療を受けるのは、最も悪い治療のうけかたです。